お菓子工場のアルバイト

ひとつのお菓子(商品)が出来上がるまでに、意外にたくさんの人の手が入っていることを知る。

機械でガチャンガチャンと出来てきて、それを箱詰めするくらいかと思いきや、生地を作る機械に材料を入れ、それに合わせる材料を作る人がいて、それぞれを合わせる人、飾り付けたり、検品して包装して、出来た製品を仕分けして、出てきたゴミを集めたり、汚れものを洗う人まで、実にたくさんの人の手がかけられている。

私は新人アルバイトだから、最後のちょっとの部分だけをお手伝いしてる。

時給950円。

他にもアルバイトさんが各部署にいて、パートさん、社員さん、みんないくらで働いてるんだろう…

これだけの人がお給料もらえるだけの売り上げをあげなきゃいけないんだよね。

今作ってるのが一箱1500円、この前のはひとつ120円。その前のはひとつ200円。すごくたくさん種類あるし、値段も色々だけど、かなりの数を売らなきゃだよね。

1日に同じものを200個とか400個とか作るって言ってたけど、全部売り切れるのかなぁ。

もし残っちゃったらどうなるんだろう。

でも、毎日毎日数に追われて作ってるってことはそれだけ需要があるんだよね。

 

でもさあ、これだけ人が入ってて、色々経費かかってて、この値段で妥当なのかなぁ。

むしろ安くない?

もしこれで利益が出てるとしたら、どんな材料使ってるんだろう?

生クリームも果物も小豆も栗もバターもスーパーで売ってるのを買って自分で作ったとしたら絶対にこの値段じゃ作れない。

だとしたらどういう仕組みになってるんだろう…

 

考えてたら怖くなって、とても申し訳ない気持ちになってきた。

 

しかも私は糖質制限推奨派。

その私がなんでこうやって体に悪いと思ってるものを作るお手伝いをしてるんだろう。

これを食べる人に罪はないし、もちろんこれらが引き起こす悪影響は考えないよね。

教えられてないもん。知らされてないもん。

 

お手伝いしながら、自分の矛盾と経済で成り立ってる今の社会について考えは果てしなくループする。

 

この工場は前に働いたことのあるお菓子工場とは雰囲気が全然違う。あまりみんなイライラしてない。怒鳴ってない。

間違えてもため息はない。睨みもない。コソコソもない。無視もない。

それを見るとそこまで無茶苦茶な材料は使ってないんだな、きっと。

 

みんなここのお菓子を食べて、幸せな気分になりたいと思って買っていくのだから、色々考えはあるけれど、ひとまずは買ってくれる人を思い浮かべて、ひとつひとつ丁寧に向かおう。

 

そう思うと少しだけ軽くなった。