選択


朝陽が昇るのが少しづつ遅くなって
蝉の大合唱の中に哀愁を感じ
吹く風に遥か彼方の落ち葉の匂いを嗅ぐ

めぐりゆく季節を
終わりなき時の流れを
この肌で
この体で
私はずっと知っていた

形なき命が
形として現れることを選び
いわゆる
感情という名の振動を
お互いに発しながら
形ある命から
形なき再びの旅に出るまで


味わい尽くそう

震える心を
沸き立つ勇気を
胸をつく怒りを
温かな愛を


味わい尽くそう

そして再びの旅に出る時
これも選んだのだと気づくだろう

全て
選んできたのだと